「准看護師は国家資格ではない」という説明を目にすることが多くありますが、これは誤った認識です。准看護師が国家資格である根拠を確認し、なぜ誤解が広まったのかを整理します。
まず、国は国家資格を「国が法令、告示、通達等に基づき、一定の業務に従事する上で必要とされる専門的知識、技能等に関する基準を設け、国、地方公共団体等がその基準を満たしていると判定する者について、当該業務への従事、法令で定める管理監督者等への就任若しくは一定の称号の使用を認める制度又は専門的知識、技能等を有する旨を単に証明する制度」などと定義しています。
これは平成14年の閣議決定※を踏まえて総務省が実施した「資格制度概況調査」(平成23年10月)に明記されているものです。この定義に照らせば、国の法律である保健師助産師看護師法に基づいて制度が構成されている准看護師は、当然に国家資格に含まれることがわかります。 ※「公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画」
実際に同調査では、当時12府省が所管する計313の資格制度が一覧化され、その中に看護師とともに准看護師も厚生労働省の資格として明確に記載されています。

准看護師の法的根拠は保健師助産師看護師法に示されています。第8条は、准看護師になろうとする者は准看護師試験に合格し、都道府県知事の免許を受けなければならないと規定しています。ここで「知事免許」であることを理由に国家資格ではないとする説明が見られますが、これは誤りです。免許の交付主体が都道府県であっても、資格そのものは国の法律に基づいて制度化されており、免許は日本全国で有効です。実際、多くの人が所持する運転免許も知事免許ですが、国家資格であることに疑いはありません。
では、なぜ准看護師は「国家資格ではない」という誤解が広まったのでしょうか。その一因として、看護師との違いを強調するために便宜的な表現が用いられてきたことが挙げられます。教育課程や業務の自律性の差を説明する文脈で「国家資格ではない」という説明が繰り返し用いられ、そのまま一般的な認識として定着してしまったと考えられます。中には大規模な団体や専門学校でさえ、その誤解に基づく説明を掲載している例が見られ、誤情報が半ば公式のように扱われてしまった側面も否めません。
同じような制度設計として管理栄養士と栄養士(大臣免許と知事免許で根拠は栄養士法)の資格がありますが、栄養士は国家資格という認識が一般的なようです。
歴史をたどれば、看護師免許も都道府県知事が交付していた時期があり、その免許証は現在も有効です(法附則第53条)。知事免許であることをもって国家資格と否定する理由はどこにもなく、制度の歴史や法体系から見ても、そのような理解は成り立ちません。

参考画像:弘前学院大学看護紀要より
【看護師関連法の変遷】
大正4年 看護婦規則(国民医療法)
昭和22年 保健婦助産婦看護婦令(国民医療法)
昭和23年 保健婦助産婦看護婦法
平成14年 保健師助産師看護師法に名称変更
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