医療法人化で医院の未来を変える!専門家が解説する基本知識と成功のポイント

 

医療法人設立の第一歩 メリットからスムーズな進め方まで徹底解説

 

 医療法人を設立したいけれど、何から始めればよいかわからないとお悩みではありませんか?

 現代社会は急速に変化しており、医療業界も例外ではありません。これからの時代において、より安定した経営基盤を築くために「医療法人化」が有力な選択肢となります。医療法人設立には節税や事業拡大といった魅力がある一方で、医療法に関する専門知識や行政手続きが必要です。

 本記事では、社団法人の医療法人設立に必要な基礎知識から、具体的な手順、そして専門家の活用方法までをわかりやすく解説します。

目 次
  1. 医療法人設立の基本知識
    1-1 医療法人とは?その役割と目的
    1-2 医療法人を設立するとどう変わるか
    1-3 医療法人(社団)の組織体制
    1-4 医療法人化のメリットとデメリット
  2. 医療法人設立の準備と必要な手順
    2-1 医療法人設立の条件と必要要件
    2-2 必要書類
  3. 医療法人設立の具体的な流れ
  4. 専門家のサポート活用法
  5. 医療法人運営の手続き
    5-1 社員総会
    5-2 理事会
    5-3 監事
    5-4 所轄庁への手続き
  6. まとめ~医療法人化は未来への投資です~

1.医療法人設立の基本知識

 1-1 医療法人とは?

  医療法人は、病院や診療所を運営し、医療を提供することを目的とした法人です。医療法人の類型は、大きく財団法人と社団法人に区別されるほか、公益性の高い社会医療法人などに分かれます。全国に約59,000の医療法人があり、その99%以上が社団法人型です。

 1-2 医療法人を設立するとどう変わるか

  個人開業と比較すると、法人化により経営基盤の安定性が向上し、効率的な運営や事業継続が可能になります。

  また、地域医療を支える能力が向上し、患者様により高品質な医療を提供できる環境を整えることができます。

 1-3 社団医療法人の組織体制(機関)

  社員総会 … 社員3人以上とされている

  理  事 … 原則3人以上(理事長含む)

  監  事 … 1人以上

  法人代表 … 理事長(原則医師・歯科医師)

 1-4 医療法人化のメリットとデメリット

 メリット

   事業経営の安定化

    組織・経営基盤の強化により、事業規模の拡大(複数診療所の運営や設備投資等)が可能になります。

個人の診療所開設は原則として1カ所です

   社会的信用力の向上

    法人化により、患者や地域社会からの信頼度が向上します。また、金融機関や取引先からの信用度が高まり、資金調達が有利になります。また、スタッフ採用の競争力が高まり、優秀な人材を確保しやすくなります。

   節税効果

    所得分散や法人税率の適用により、税負担の軽減が期待できます。個人事業主として利益が一定以上になると税負担率が大きくなるため、法人化によって法人税率の適用による効果や、家族を役員とした場合は、役員給与支払いによる給与所得控除の適用や所得分散も効果的です。また、法人化することで経費計上の範囲拡大による

   節税効果も享受できることがあります。

   事業承継の円滑化

    法人化することで将来的に事業承継がスムーズになります。また、個人診療所の資産は相続財産になりますが、法人資産は該当しません。

デメリット

   管理業務の増加

    定款管理、社員総会や理事会の開催、監督官庁への報告など業務負担と会計・税務関連業務の増加などに伴うコストが発生します。

   業務等の法的規制

    非営利原則に基づく制約があり、剰余金の配当禁止や解散時の残余財産処分が規制されています。また、法人に法令違反や運営が著しく不適正などの疑いがある場合には医療法63条に基づく立入検査が行われます。

 医療法人設立には、経営面で大きなメリットがある一方で、注意すべきポイントも存在します。法人設立前には、これらのメリットとデメリットを理解することが重要なため、事前に専門家の意見を聞くことが成功への鍵です。

2. 医療法人設立の準備と必要な手順

 2-1 医療法人設立の条件と必要要件

  医療法人を設立するには、医療法で定められた条件を満たす必要があります。また、設立には最低限の資本金や運営計画などの検討・作成と保健所などの行政機関との事前相談が必要です。主に次のような準備を整えることで設立手続きがスムーズに進みます。

  • 法人名称:医療法人または医療法人社団の表記は必ず必要ですが、認可庁にリストより指導が異なります。                 
         既存法人との重複や広告規制等に注意が必要です。
  • 社員構成:原則として3人以上必要です。法人の意思決定に参画しますので慎重な選任が必要です。通常は
         設立者全員が社員となります。
  • 役員構成:理事3人以上及び監事1人以上を置かなければなりません。理事は業務を処理し、監事は業務を  
         監査します。理事長は医師又は歯科医師である理事のうちから選出し、医療法人を代表します。
  • 拠出財産:開設する診療所等の業務を行うために必要な財産拠出(寄附)が必要です。原則として年間支出
         予算の2か月分以上の運転資金が必要とされています。
  • 基金制度:基金を採用することにより、財産的基礎の維持を図ることができます。定款の定めにより基金の
         拠出者に対し返還義務を負います。
  • 会計年度:一般に4月1日から翌年3月31日ですが、任意の1年間でも設定は可能です。

 2-2 必要書類

  医療法人の設立には多くの書類が必要ですが、代表的なものは以下のとおりです。

  • 定款   :法人の目的や運営ルールを定めた基本文書で定款例が示されています。
  • 設立趣意書:法人設立の理由や目的を説明する書類です。
  • 事業計画書:運営方針や収支計画について設立後2年分が必要です。
  • 資産目録 :法人設立時点の財産内容を記載した一覧表です。
  • 役員名簿 :法人を運営する役員の名簿で、履歴書や就任承諾書とともに必要です。
  • 施設概要 :施設の規模や設備に関する詳細になります。

    これらの書類は正確に揃える必要があり、不備があると審査が遅れるため細心の注意が必要です。

3.医療法人設立の具体的な流れ

  法人設立までの主な流れとワンポイント・アドバイスは以下のとおりです。

保健所や行政機関、関係者への事前相談
 設立計画や施設の概要が基準を満たしているか相談する。施設図面や事業計画書の下書きがあると話が進みやすい。その他金融機関や不動産・リース契約先など関係各所と事前調整する。


申請期間
 医療法人の認可は都道府県、政令市ごとに異なるため、必ず所在地の所管庁へ確認する。一般的に申請は年2回、受付期間は3日~5日程度と非常に短い。


設立総会
 法人設立総会の実施日は、所管庁によって指導内容が異なるため事前確認が必要。


設立計画書
 認可申請には正確な設立計画書の作成が不可欠なため、専門家のアドバイスを受けるなど慎重な確認が重要。


認可後の手続き
 医療法人の設立登記を行い正式に医療法人として活動を開始する。
 その後、登記完了届、診療所開設許可(法人)、診療所廃止届(個人)、指定医関係、税務関係、労働関係、社会保険関係や各種契約関係の名義変更などが必要。

4. 専門家のサポート活用法

 医療法人設立において、専門家(税理士・行政書士)の力を活用することで、手続きの負担を大幅に軽減できます。  税理士は節税対策を担当し、行政書士は申請書類や設立計画書の作成、法人運営に関連する手続き全般のサポートをします。しかし、医療法人に関する情報を提供するウェブサイトの中には、非専門家が作成したものも散見されます。これらのサイトには明らかな間違いや噓の情報も複数確認していますので細心の注意を払いましょう。

 また、「〇日で申請可能」や「認可率100%」といった広告にも慎重な姿勢が求められます。短期間での申請が可能とPRする場合は費用が抑えられる反面、十分な検討時間が取れず、後に浅慮な計画が後悔を招く可能性があります。

 設立の計画やビジョンが明確であり、書類作成のみを専門家に依頼するケースを除き、あまりおすすめできません。認可率や利用者の声といった広告に対しては批判的に考えることが大切です。行政行為としての認可は、代理人が誰かは関係なく、適切な条件さえ満たしていれば認可されます。退職後の公務員も守秘義務があるため詳細な内容は記載できませんが、認可がされない事例には理由があります。この人に依頼すれば100%とはなりません。

 利用者の声の多くは料金ディスカウントを条件に掲載される手法がとられています。そもそも事業主のウェブサイトに掲載されている以上、事業者と利用者どちらが実績をアピールしたいのかを考えれば簡単な話です。医業がとても厳しく広告規制されていることを知っている専門家自らの運営するウェブサイトがこれでよいか本当に疑問です。

 専門知識を持っている専門家を選ぶ際は、医療法に関する質問や委任するサポート範囲、費用の目安など複数の候補者に事前相談し、早い段階で最適なパートナーを見つけることが成功の鍵となります。

5. 医療法人運営と手続き

 5-1 社員総会

   社団たる医療法人は、社員総会が最高意思決定機関であり、法人の重要事項は社員総会において社員が各一個保有する議決権を行使することで決定します。社員総会は年2回以上開催される必要があり、総社員の過半数の出席がない場合は成立しません。総会の議事録は開催日から10年間保管義務があります。         法律では年1回

<社員総会の決議事項>

  • 理事及び監事の選任及び解任
  • 定款の変更54条の9第1項
  • 基本財産の設定及び処分(担保提供を含む。)
  • 毎事業年度の事業計画の決定又は変更
  • 収支予算及び決算の決定又は変更
  • 重要な資産の処分
  • 借入金額の最高限度の決定
  • 社員の入社及び除名
  • 医療法人の解散55条3項
  • 他の医療法人との合併若しくは分割に係る契約の締結又は分割計画の決定
  • その他重要な事項

 5-2 理事会

   理事会は全ての理事(3人以上)で構成され、法人の業務執行を決定し、理事の職務執行を監督し、理事長を選出及び解職する権限を持ちます。理事の任期は2年であり、医師又は歯科医師の理事の中から理事長を選出し、法人の代表となります。理事会は原則として年4回以上開催し、理事の過半数の出席がなければ成立しません。

   理事会の議事録は開催日から10年間保管義務があります。

<理事会の職務>

  • 医療法人の業務執行の決定
  • 理事の職務執行の監督
  • 理事長の選出及び解職 法第46条の7から第46条の7の2
  • 重要な資産の処分及び譲受けの決定
  • 多額の借財の決定
  • 重要な役割を担う職員の選任及び解任の決定
  • 従たる事務所その他の重要な組織の設置、変更及び廃止の決定
  • 法人に対する役員の損害賠償責任の免除

 5-3 監事

   監事は医療法人の業務や財産の状況を監査する役員であり、社員総会の決議によって1人以上選任されます。監事は理事会にも出席し、議事録への署名又は押印を行います。

   監事が複数いる場合でも、その権限は各監事が独立して行使します。

<監事の職務>

  • 医療法人の業務を監査すること。
  • 医療法人の財産の状況を監査すること。
  • 毎会計年度、監査報告書を作成し、3カ月以内に社員総会等に提出すること。
  • 医療法人の業務に関し不正行為等を発見したときに社員総会等に報告すること。
  • 理事が社員総会に提出しようとする議案等を調査すること。

 5-4 所轄庁への手続き

   医療法人は一般的な営利法人とは異なり、国家的な監督の必要性から許可主義が採られています。医療法の定めにより、その区域を管轄する所轄庁へ定例的な報告や届出のほか、次に掲げるような場合には手続きが必要です。

区  分手続きの内容
設立関係 医療法時人設立の認可申請
 設立登記の届出
定款関係 定款の変更の認可申請
 定款の変更の届出
役員関係 役員の変更の届出
 理事を減員することの認可申請
 医師、歯科医師以外の理事長選任の認可申請
 管理者の一部を理事に加えないことの認可申請
決算等 事業報告書等の届出
 監事の監査報告書の届出
 経営情報等の報告
登記届 登記事項の変更登記完了の届出
 主たる事務所移転登記の届出
 従たる事務所新設登記の届出
合併・分割 新設合併の認可申請
 吸収合併の認可申請
 合併登記の届出
 新設分割の認可申請
 吸収分割の認可申請
 分割登記の届出
解散関係 解散の認可申請
 解散の届出
 解散登記の届出
 清算人就任の届出
 清算人就任登記の届出
 清算結了の届出
 清算結了登記の届出

6. まとめ ~医療法人化は未来への投資です~

 医療法人の設立は、持続可能な成長と安定した組織運営・経営基盤を強化するための重要なステップです。税制面での優遇や社会的信用の向上など、多くのメリットが期待でき、事業の長期的発展と地域社会への貢献を目指す重要な選択肢です。そのため、医療機関にとって大きな転機となるでしょう。

 しかし、その手続きや運営には多くの準備と専門知識が必要です。本記事では、医療法人設立に必要な基礎知識から具体的な手順、専門家の活用までを解説しました。医療法人化を成功させるためには、計画段階の正確さと準備の徹底が欠かせません。まずは、設立の必要性を再確認し、専門家に相談することをおすすめします。複雑な手続きも、信頼できるパートナーと連携することで円滑に進めることが可能です。ぜひ先生の貴重な時間と労力を節約してください。

 当事務所では、医療法に精通した行政書士が具体的なプランの作成をサポートいたします。医療法人の申請時は一般的に年2回程度です。どのタイミングで検討を進めるべきか、設立後の運営計画など、具体的なケースや個別のご相談については、無料相談でお気軽にお問い合わせください。ゼロから検討する先生でも安心して進められるよう、懇切丁寧にサポートいたします。

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